昨日、部屋には蝿がいた。朝窓を開けたら入ってきたらしい。5ミリくらいはあるように見えたし飛び方もふわふわしていなかったのでコバエ ではなくていわゆる「蝿」だった。存在感があるので仕事や家事をしている最中も目に入った。強い感情は湧かなかったので無視していたが、あれをいずれどうにかしなくてはいけないだろうとは思った。はたき落としたり殺虫剤をかける想像もした。それとは別に壁にはアダンソンハエトリがいて、私はそっちのことは積極的に好もしく思っており、見かけない日は少し心配する。前脚を擦り合わせたり跳ねる様子は愛らしい。
今日、起きたら蝿はいなかった。はたき落とさずに済んでほっとして、ただやりすごしてしまったことにわずかに傷つく。
2026年に日本でパニックが起こるSF小説を読んでいたら2020年にはオリンピックが開催された様子で、書かれた数年前に想像されたリアリティが迷子になった先で私は寝転がってこれを読んでいるのだなと思った。ニュースを見るとやってらんないな、と思うが私はなにをやってもいない。背中にニキビができたので背中を洗うブラシを検索し、非常によいと噂の商品を見つけたが、入手困難なうえにウェブサイトに載っている店舗が入っている商業施設はどこも非常事態宣言にともなう臨時休業だった。手の届かない肩甲骨の間は指先で引っ掻くことしかできない。タオルで洗えばいいがそうしない理由はいままでもそうしていなかったからだ。
スーパーには初夏の野菜が並んで美しかった。ピーマンとトマトの大袋を買う。夕食にはカレイの煮付け、焼きなすにすだち汁を和えたもの、トマトと実山椒、残り物の味噌汁と冷凍ごはん。