クーラーをつけていたが、もしかしてそこまで暑くないのかもしれないと窓を開けたら雷鳴が聞こえた。降ってきたら閉めようと思ったがなかなか降り始めない。雷鳴だけがそのあと数回鳴った。通りがかった子供の声で「河童って猫食べるっけ?」と聞こえる。やや恐ろしい気がして脳内で否定する。多分食べない。馬を川に引き摺り込むんじゃなかったっけ。それも食べはしないだろう。口が嘴だけど歯はあったっけ。河童を知り合いのように思い出す。
夕食の準備をしようとして、ホットサンドメーカーを磨き始めてしまう。ゴム手袋をしてスチールウールたわしで擦る。ゴム手袋は素晴らしい。金束子を持っても手が痛くも黒くもならない。焦げを落とすのは体力がいるが達成感があって、麻薬性がある。スチールウールは使い捨てだが捨てるのが面倒臭い(濡れたまま放置すると赤錆が出てしまう)ので、他にも磨けるものは磨いてしまおうと思う。金属製のバットを磨く、角は力が入らないので難しい。達成感だけが味わいたいから、難しいところは放っておいて、別のものを磨く。バットもう一枚と雪平鍋の小さいほう。両方ともそこそこ綺麗でちょっと焦げが残った。いつの間にかだいぶ汗をかいている。
ゴム手袋を外してiPhoneを見たらずいぶん長いこと連絡をとっていなかった友人から、ラジオで私の描いた漫画が紹介されているというLINEが来ていて不思議な感じがする。ラジオは目の前にあるのに。アプリでラジオを聞き始め、Tシャツを着替える。そういえば私は夕飯が食べたかったのだった。きれいになりきらなかった鍋でがんもどきと小松菜を煮て、小さい方のバットに山芋を乗せてトースターで焼いた。